
多焦点眼内レンズ
(老眼治療)
多焦点眼内レンズ
(老眼治療)
白内障手術で従来使われてきた単焦点眼内レンズは、近視、遠視、乱視といった屈折異常を矯正し、1つの距離にピントを合わせるレンズです。一方、多焦点眼内レンズは、複数の距離にピントを合わせることができるように設計されたレンズです。これにより、手術後、眼鏡やコンタクトレンズに頼ることなく、様々な距離のものを裸眼で見ることができる可能性が高まります。
多焦点眼内レンズは眼内に入ってきた映像を遠くや近くへ振り分ける構造になっている為、1カ所あたりの見え方の質やコントラスト感度はやや低下します。
しかし、日常生活でその低下が問題になることはほとんど無く、単焦点眼内レンズと比較して眼鏡やコンタクトレンズによる矯正が必要なくなる、もしくは使用の頻度を下げることが出来ます。
眼鏡やコンタクトレンズ
からの解放
多焦点眼内レンズは、遠方・中間・近方の複数の距離にピントを合わせることができるレンズです。そのため、従来の単焦点眼内レンズとは異なり、1つの距離だけでなく、日常生活でよく使う複数の距離に焦点を合わせることが可能です。
快適な視生活
メガネや老眼鏡に頼らず、日常生活のあらゆるシーンでクリアに見えるようになるため、生活の質(QOL:Quality of Life)が大幅に向上します。
老眼の改善効果
白内障手術では、加齢とともに濁った水晶体を取り除いて眼内レンズを挿入します。多焦点眼内レンズを選択することで、白内障の治療だけでなく、加齢により発生する「老眼」も同時に改善することができます。
コントラストの低下、
グレア・ハロー
多焦点眼内レンズは、各距離に光エネルギーを配分している構造上、単焦点眼内レンズと比べると、コントラストが劣る部分があります。
また、夜間に信号や対向車のライトを見ると、光の周りに輪が出たり(ハロー)、光が長く伸びてまぶしさを感じる(グレア)ことがあります。
通常3ヶ月程度で順応し、気にならなくなる方が多いです。
費用がかかる
多焦点レンズはレンズ代金が保険適応外のため、高額となります。
適応外になることがある
白内障以外の目の病気を併発している方や、瞳孔が特に小さい方では、多焦点眼内レンズを用いると逆に見にくくなることが予想されるため、適応外となることがあります。
また、見え方について特別神経質な方にも多焦点眼内レンズは不向きと言えます。
多焦点眼内レンズの手術には、通常の白内障手術と同じように、発生率は稀ではありますが、眼内炎症、眼内圧上昇、網膜剥離、後発白内障などの合併症のリスクがあります。
また、術中、後嚢破損やチン氏帯断裂などにより眼内レンズの縫着が必要となった場合には、多焦点眼内レンズが適応にならずに単焦点眼内レンズの挿入に切り替わる可能性があります。
レンズ表面に回折格子(細かい溝)があることで光を分散させ、2カ所ないし3カ所に焦点が合うもの、焦点の幅が広げられているものを回折型と呼びます。
Alcon社 | パンオプティクス |
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J&J社 | オデッセイ |
BVI社 | ファインビジョン エイチピー ファインビジョン |
Hanita社 | インテンシティ |
HOYA社 | ジェメトリック ジェメトリックプラス |
わかもと製薬社 | アクリバトリノバプロ |
レンズ上に遠方用、近方用と屈折力の異なる部位があり、同心円状に配置されているものを屈折型、屈折型の一部で近方部が同心円状ではなく一部分にのみ配置されているものを分節型と呼びます。
J&J社 | ピュアシー |
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Soleko社 | エボルブ |
Teleon社 | レンティスエムプラスエックス トーリック |
※画像はミニウェルレディです。
レンズにおける収差(光がレンズを通過する際に発生する焦点を結ばない光)を利用し、焦点の幅が広げられているものをプログレッシブ型と呼びます。
Alcon社 | ビビティ |
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SIFI社 | ミニウェルレディ |
Rayner社 | レイワン ギャラクシー |
商品名 | パンオプティクス | ビビティ | ファインビジョンHP | ジェメトリック | ジェメトリックプラス | オデッセイ | ピュアシー | アクリバトリノバプロ |
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商品名 (英語表記) |
PanOptix | Vivity | FineVisionHP | Gemetric | Gemetric Plus |
Odyssey | PureSee | AcrivaTrinova PRO |
メーカー | Alcon | BVI | HOYA | J&J | わかもと製薬 | |||
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焦点 | 3焦点 | 遠中EDOF (2焦点相当) | 3焦点 | 3焦点 | 3焦点 | 連続焦点型 (3焦点相当) | 遠中EDOF (2焦点相当) | 3焦点 |
焦点距離 | 遠く 60 40 |
遠く〜中間 | 遠く 80 35 |
遠く 80 40 |
遠く 80 40 |
遠く〜 35cm |
遠く〜中間 | 遠く 80 40 |
乱視矯正 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
手術費用(税込)2025年9月現在 | ||||||||
乱視矯正 なし |
¥320,000 | ¥300,000 | ¥320,000 | |||||
乱視矯正 あり |
¥380,000 | – | ¥380,000 |
国内での使用実績が多いパンオプティクス(TFNT00)の新素材版。従来素材と比較してレンズ素材の安定性が高く、ホワイトニング・グリスニングと呼ばれるレンズの白濁が起こりにくいとされる。また選定療養対応の多焦点レンズでは唯一乱視矯正レンズでごく軽度の乱視にも可能。中間60cm、近方40cmと近方の焦点距離が近く、比較的近方重視の3焦点眼内レンズ。
遠中EDOF(=焦点深度拡張型)眼内レンズ。独自の技術でレンズ中央部の焦点深度を拡張することによって多焦点機能を持たせている。また、レンズ表面に回折構造がないため、ピュアシー同様に選定療養対応多焦点レンズの中では最も優れた夜間視機能が期待できる。両眼に同じレンズを入れるだけでなく、片眼に3焦点レンズなどを組み合わせることによって多焦点機能と夜間視機能のバランスを取ることも可能。
欧州では2011年より販売され世界的に使用実績の多いPOD F(ファインビジョン)と同じ構造をもつ3焦点眼内レンズ。素材が親水性から疎水性に変更されていることでよりホワイトニング・グリスニングと呼ばれるレンズの白濁が起こりにくいとされる。また、中間80cm、近方35cmと中近の焦点の幅が大きく取られていることにより、どの距離であっても視力の落ち込みが少ない多焦点眼内レンズ。
初の国産3焦点眼内レンズ。中間80cm、近方35cmと焦点の幅広い焦点を持ち、遠見の光配分が多い設計によりシャープな遠方視も期待できる。回折構造を持っているが中央付近に集まっていることにより、夜間視機能への影響が少ない多焦点レンズ。
遠方と中間重視のジェメトリックと遠方と近方重視のジェメトリックプラスの2種類があり、両眼に同一レンズを挿入するだけでなく、2種類のレンズを左右それぞれに挿入することでより良い視機能が期待できる。(ペアリング)
テクニスシナジー(DFR00V)の上位版多焦点眼内レンズ。多焦点機能をほとんど損なうことなくより良い夜間視機能とコントラスト感度を実現。度数ずれにも強く、同じレンズを挿入する場合でも遠方重視や近方重視、それらを組み合わせるマイクロモノビジョンなど選び方の幅も大きく患者様のニーズに合った度数選択をすることが可能。
遠中EDOF(=焦点深度拡張型)眼内レンズ。国内承認多焦点眼内レンズの中で唯一レンズの表面に凹凸がない構造で、ビビティ同様に選定療養対応多焦点レンズの中では最も優れた夜間視機能が期待できる。両眼に同じレンズを入れるだけでなく、片眼に3焦点レンズなどを組み合わせることによって両眼で見た時に近方の弱さを補う事もできます。
独自の回折構造を持ったプレート型3焦点眼内レンズ。ハローやグレアの原因とされる角が立った回折構造ではなく、滑らかに変化する回折構造を採用することで夜間の見え方を向上させている。国内承認の多焦点眼内レンズでは唯一プレート型と呼ばれる長方形の形状を採用し、嚢(眼内レンズの入る袋のような組織)と接する点が多い事からレンズの安定性にも優れる。
商品名 | エボルブ | インテンシティ | レンティス エムプラス |
レイワン ギャラクシー |
ファインビジョン | ミニウェル レディ |
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商品名 (英語表記) |
EVOLVE | Intensity | LENTIS M plus |
RayOne Galaxy |
FineVision | MiniWELL READY |
メーカー | SOLEKO | Hanita | TELEON | Rayner | BVI | SIFI |
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焦点 | EDOF (3焦点相当) |
5焦点 | 2焦点 | EDOF (3焦点相当) |
3焦点 | EDOF (2焦点相当) |
焦点距離 | 遠く〜50 | 40 60 80 133 |
40 | 遠く~40 | 35 80 |
遠く〜 中間 |
乱視矯正 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
手術費用(税込)2025年9月現在 | ||||||
乱視矯正なし | ¥831,000 | ¥852,000 | ¥896,000 | ¥811,000 | ¥831,000 | |
乱視矯正あり | ¥892,000 | ¥927,000 | ¥934,000 | ¥975,000 | ¥872,000 | ¥892,000 |
遠中EDOF(=焦点深度拡張型)眼内レンズ。近方の焦点距離は50cmだが、レンズ中央に近方の度数を配置した設計により近方視力も良好。また製作範囲も広く強度近視眼でも対応可能で、乱視矯正用レンズは度数は通常の3倍の精度(0.25Diopter)、軸は1度刻みで製作可能な完全オーダーメイド眼内レンズ。
世界初で唯一の5焦点IOL。グレア、ハロー、スターバーストなどと呼ばれる不快光視現象の原因となる3次光、4次光にも焦点を持たせることによって光学的なロスを減らし、焦点を増やしながらも不快光視現象も最小限に抑えた多焦点眼内レンズ。レンズの形状もバニーレンズと呼ばれ、一般的なシーレンズよりも水晶体嚢との接地面が多く、嚢内の安定性も高い。乱視矯正対応レンズではさらにプレート型と呼ばれる形状となり、バニーよりもさらに高い嚢内安定性が期待できる。
完全オーダーメイドの多焦点眼内レンズ。通常のIOLの50倍の精度(0.01Diopter刻み)で屈折矯正が可能。回折構造をもたない分節型と呼ばれる構造によりレンズ表面の凹凸が少なく、多焦点眼内レンズ特有の不快光視現象の発生頻度が低い。製作範囲の広さも多焦点眼内レンズの中でもっとも広く、他の多焦点眼内レンズでは適応外となってしまうような強度の屈折異常にも対応可能。
AIが設計した世界初の多焦点IOL。レンズ中央付近のスパイラル構造(=らせん構造)と呼ばれる、回折型、屈折型とも異なる独自の光学設計により、遠近EDOF(=焦点深度拡張型)で3焦点相当の見え方を実現しながら不快光視現象も低減させた多焦点眼内レンズ。
欧州では2011年より販売され世界的に使用実績の多い3焦点眼内レンズ。また、中間80cm、近方35cmと中近の焦点の幅が大きく取られていることにより、どの距離であっても視力の落ち込みが少ない多焦点眼内レンズ。自由診療のみの取り扱いだがPOD F GFよりも製作範囲が広く、強度の遠視や乱視であっても対応可能。
遠中EDOF(=焦点深度拡張型)眼内レンズ。独自の技術でレンズの収差を利用することで多焦点機能を持たせている。レンズ表面に多焦点特有の回折構造を含めた凹凸が全くない設計になっているため、多焦点眼内レンズの中でもトップクラスの夜間視機能を実現。
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